トータスメディアは2018年、元タイムズ紙の編集長だったジェームズ・ハーディング氏のアイデアが元になったニュースメディアだ。「トータス(カメ)」の名が示すように、「スローニュース」の掲載がうたい文句である。

トータスは今後5年間で2500万ポンド(約47億円)の投資を予定している。トータスによると、買収後は一貫して日曜日の印刷・発行を継続する。これにトータスが提供するポッドキャスト、ニュースレター、ライブのイベントなどを加えていく。

トータスの会長は米オバマ政権(2009-13年)時代に駐英米大使だったマシュー・バルザン。その設立には複数の投資者がいた。その一人が多国籍情報企業トムソン・ロイター社のデービッド・トムソン会長である。トムソン氏は英国のメディア王の一人で、タイムズとサンデータイムズ紙を所有していたロイ・トムソン氏の息子である。

トータスメディアの躍進

筆者は、タイムズの元編集長ハーディング氏が新たなメディアを作ると聞いて、注目していた。しかし、有料メンバーでないと読めない形になっていたし、高邁なジャーナリズムのために投資を呼びかけられても、当時は高額に思えて、「お金持ちの人用のメディアだ」、「道楽だな」と受け止めていた。

しかし、その後の数年間で、トータスはメディアの大物たちを支援者として、少しずつ調査報道の記事を繰り出し、ファンを作っていった。

現在までにポッドキャストシリーズ「Sweet Bobby 」、「Left to Die and Pig Iron」、「Londongrad 」を提供し、ニュースレター「Daily Sensemaker」でニュースの注目どころを紹介する。衛星放送のスカイニュースと協力して、国会議員への献金のデータをアーカイブした「The Westminster Accounts 」を作り上げた。

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