Oksana Latysheva/iStock

  1. 労働者とは

    前回までは直接投資のフローやストック、収益についてご紹介しました。

    日本は対外直接投資がそれなりに多い割に、対内直接投資が少ない国ですが、対外直接投資収益もそれほど多くなく割の良くない対外投資となっているようです。

    今回からは、労働者(就業者、有業者)や個人事業主についての統計を整理していきたいと思います。

    働く人全体を表す労働者については、日本の国内統計では就業者、従業者、有業者など様々な呼び方があります。

    OECDにおいては、Employmentという表記で表されます。

    基本的に労働者(Employment)は企業に雇用されている雇用者(Employees)と個人事業主(Self-employed)の合計として表されます。

    日本の労働者数を扱っている統計データは多く、今回はその関係性について整理するところから始めたいと思います。

    具体的には、労働力調査、就業構造基本調査、国民経済計算(国勢調査)、OECDについて、それぞれの項目の意味や集計の範囲を確認していきましょう。

    これらの統計で大きく異なるのは、労働者を人基準とするのか、職業基準とするのかという事です。

    ある労働者が企業で勤めながら副業をしているとすると、人基準の場合は主たる職業で仕事をする人として1人とカウントするようです。

    職業基準の場合は、勤め先での主たる職業で1人、副業で1人と合計2人としてカウントします。

    労働力調査、就業構造基本調査は人基準、国民経済計算、OECDは職業基準でカウントしているようです。

    1-1. 労働力調査

    労働力調査は、「国民の就業及び不就業の状態を明らかにするための統計を得ることを目的として、1946年9月以来、毎月実施されている調査で、各種の雇用対策や景気判断等のための重要な基礎資料とし て利用されている調査(標本調査)」との事です。