■作る難易度の高さに衝撃

奈良女子大学には甘葛煎再現プロジェクトがあり、甘葛煎の研究をしている。研究を始めたきっかけは、2010年に大学院の授業で古代のお菓子を紹介したことだったという。その際、砂糖以前の甘味が話題にあがり、院生から甘葛煎を作って食べたいと提案されたそうだ。

砂糖が普及する以前の“幻のスイーツ”、調理工程に目を疑う 1300年前のエピソードが最高
(画像=『Sirabee』より引用)

翌11年、奈良女子大学のツタを使って再現することに成功。今回話題になったように、作る難易度は非常に高い。

砂糖が普及する以前の“幻のスイーツ”、調理工程に目を疑う 1300年前のエピソードが最高
(画像=『Sirabee』より引用)

前川さんからは、「まずは材料探し、地権者の了解を得る必要があります。そして、厳冬期に30人くらい集めて、木や壁からツタを剥がして、樹液を採りだし、煮詰めます。ツタの伐採と樹液取り出しが重労働です」「樹液の糖度は10~20度くらいなので、保存性を高めるために、煮詰めて75度くらいにします。1リットルの樹液を採ったとしても、10分の1の100ミリリットルにしかなりません。大人30人が8時間かけて、100ml作ります」という、もはや名作RPG級の裏話が寄せられている。

砂糖が普及する以前の“幻のスイーツ”、調理工程に目を疑う 1300年前のエピソードが最高
(画像=『Sirabee』より引用)

甘葛煎は、時間も手間もかかるため、滅多に出会えない「幻のスイーツ」と言って差し支えないだろう。ただ、昨年7月、奈良女子大学は飲食店や奈良県と共に、甘葛煎の味に近づけた「甘葛シロップ」を開発。10月には商品化を目指し販売を開始。イベントを通じて奈良の名物としてアピールしている。

奈良で「甘葛シロップ」を見つけた際はぜひ食べてほしい。