■年表を「読んでもらう相手」に思わず納得
年表の詳細について、博物館の担当者は「常設展示室に入ってすぐのコーナーの壁面に掲示しているものです。年表の下には、さいたま市内で出土した旧石器時代の石器を展示してあるケースがあります」と説明する。
制作時期は2001年のさいたま市誕生以降となり、遅くとも2011年までに掲示されたものだという。
話題の「さいたま市に人が住み始める」という表現の意図について、担当者は「当館には市内の小中学生が見学に来られることも多いため、できるだけ平易な表現を心がけています」と前置き。
続けて「一般的には『大宮台地に人が住み始める』などの表現になるところですが、『大宮台地』などの用語を知らなくても理解でき、現在の自分たちが住む地域に結び付け、興味を持ってもらいやすいよう、こうした表現としています」と、その背景を説明してくれたのだ。
実際、記者が今回の取材で同館に立ち寄ったタイミングでも、近隣の小学校から児童らが体験学習に訪れていた。
続いて、旧石器時代におけるさいたま市の歴史と歩みについて尋ねてみたところ、担当者からは「日本の旧石器時代の地層は、約2万9千~2万6千年前に起きた姶良(あいら)カルデラの噴火で噴出した層を境に、それ以前かそれ以降かを分けて考えることが多く、さいたま市内ではこの地層より古い遺跡が、南区の明花向遺跡や西区の清河寺前原遺跡などで見つかっています」との回答が。
この時期は、本州の各地で見つかる石器にはあまり地域差がなく、大陸から渡来したごくわずかな人々が、移動しながら生活していたのではではないかと考えられている。
こうした背景を踏まえ、「この時期の遺跡が残っていることから、遺跡ができてから現在に至るまで、洪水などによる浸食を受けていない安定した土地であることも分かります」と、当時の環境を分析していた。