② Fiscal hawks(財政タカ派) SAVE ACTを支持していないわけではないが、国家債務が35兆ドル以上にまで膨れ上がっていることを理由に反対票を投じると宣言した議員も数名いる。過去1年だけで2兆4500億ドルも急増した債務について懸念を示して、むやみやたらに暫定的に行うつなぎ予算そのものに反対し、予算審議に注力すべきだという議員は共和党内に一定数いる。

③ 共和党穏健派 穏健派議員は、SAVE ACTをつけたつなぎ予算で進めようとしていることに不安を抱いている。多数党になっている上院では決して可決しないからだ。穏健派議員にとっては、政府閉鎖を防いで選挙を無事に乗り切ることが重要なのだろう。

協議がいつ終わるかまだ見えない状況が続くが、共和党下院指導部は今週中にも採決をしたいと考えているだろう。まだ時間があるので、先週書いた流れ通りに進むのではないかと思われる。

というわけで、いったん下院共和党はSAVE ACTつきの法案を可決して、上院民主党は他のつなぎ予算を可決して一時的には硬直することになるだろう。少しハラハラする展開もあるかもしれないが、総選挙前なので、どちらの党も政府閉鎖を起こす気はない。議会開会の最終日(9月27日)には最終的に可決するだろう。

米議会9/9-14:9月の重要議案は政府閉鎖を防ぐつなぎ予算と農業法案の延長

中国共産党の脅威に対抗する25の法案を下院議会は可決

下院の中国特別委員会モーレナール委員長は「CHINA WEEK」を提唱し、中国共産党による脅威(軍事・経済・イデオロギー・技術)から米国民を守るための重要な法案25本を可決した。

これらの法案は、2023年に下院中国特別委員会が発表したEconomic ReportやTen for Taiwan Reportに基づいたものだ※10)。

主なものを取り上げたい。

◆ BIOSECURE Act(賛成306 反対81) 中国やその他の外国の敵対勢力によって所有、運営、管理されているバイオテクノロジー企業に米国の税金が流れるのを防ぐことを目的とした法案。BGIグループ、MGI Tech、Complete Genomics、WuXi AppTec、WuXi Biologicsが「懸念されるバイオテクノロジー企業」リストに追加される。リストに掲載された対象企業と取引している企業は、連邦政府との契約が禁止される。