第4章

(17)「『戦時社会政策』=『社会国家』構想」(同上:206)。これは「戦時国家」の「社会政策」でも文意は変わらない。

(18)1941年1月に閣議決定された「『人口政策確立要綱』=戦時人口政策構想は、民族=人口政策の立場から唱えられた『社会国家』構想」(同上:239)。

(19)「人口政策確立要綱」は……「農本主義的色彩の強い民族-人口主義的『社会国家』構想であった」(同上:270-271)。

(20)「民族=人口政策は失速したとはいえ、アジア・太平洋戦争が民族意識を高めたことにより、民族-人口主義的『社会国家』構想そのものはアジア・太平洋戦争下にむしろ強化されることになる」(同上:273)。

これら(17)〜(20)はすべて、「民族-人口政策を優先する戦時国家」でなんら不都合はない。

「小泉厚相により推進された『健兵健民』政策」は「戦時国家」でもよく分かる

(21)全保協・産業組合は……国家的規模の農村厚生事業を展開しようとしていたのであり、いわば組合主義的な『社会国家』が目指されていた」(同上:289)。ここでも「全保協・産業組合の影響力が強い国家」でも不自然さはまったくない。

(22)「国民厚生団構想は厚相となった小泉が目指そうとした戦時『社会国家』の原型を示すもの」(同上:295)。「戦時国家」でも十分わかる。

(23)アジア・太平洋戦争下に展開された国民皆保険運動=国保組合普及運動は、単なる医療保険組織の普及運動ではなく、『健兵健民』政策=戦時『社会国家』の基盤創出を目指す運動だった」(同上:311)。ここでも「戦時国家」が使える。

(24)「小泉厚相により推進された『健兵健民』政策=戦時『社会国家』の著しい特質」(同上:322-323)。(23)とともに、「戦時国家」で差支えない。

(25)「健民修練や『国民体育』のあり方には……戦時『社会国家』の一面が端的に示されている」(同上:333)。これも「戦時国家」で十分である。

無理して「社会国家」を使う必然性がない