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(前回:社会学理論の堅持と創造(上):「戦時国家」は「社会国家」なのか?)

4. 歴史学での「社会国家」

『社会学理解のための100のカルテ』から

モントセとレヌアによる『社会学理解のための100のカルテ』(2006)によれば、国家は社会的調整機能に優れているという人もいれば、潜在的には抑圧の道具であるという人もいる(Montoussé & Renouard,2006:222)。

とりわけ「国家の主機能は暴力の規制である」が最初にあげられている。これは前回「上」で引用したウェーバーに代表される万国共通の傾向である。

現代国家は社会秩序の責任者

そのうえで、現代国家の特性としては、13世紀にフランスとイギリスで始まり、16世紀にはキリスト教が崩壊し、経済成長が加速するにつれて国家建設が進んだ。これと並行して、政治権力は徐々に宗教の監視から解放され、最終的には社会秩序の責任者としての地位を確立した。

国家の特徴

このような国家の特徴として、モントセとレヌアは次の3点にまとめた(ibid.:222)。

(1)強制の集中化:国王は当初、それまで家臣たちの手にあった行政権を独占していた。その後、立法権も憲法に基づいて集中化され、国家が一元的に組織化した。

(2)制度化:それは権力と個人の区別をもたらし、共和国のもとで有効となった。この区別は王制のもとで始まり、共和国になってより普遍化した。制度化は、個人的な立場ではなく、自らの職務に基づいて権力を行使するすべての国家機関で普通に認められるようになった。

(3)働く人の専門化:当初は、権力の行使を行う政治の専門家だったが、その後国家は、承認された能力に基づいて任務を遂行する職員を恒久的に採用している。

国家は暴力を鎮圧する義務がある

これらに加えて、最大のアソシエーションとしての国家は、「暴力を鎮圧する義務」があげられている。