■ 眞保龍言住職「暗闇の中で自らの原点と仏様の世界観を感じていただけたら」
今回の「提灯会」は、どのような思いから開催されたのでしょうか。玉川大師の眞保龍言住職に話をうかがいました。
──提灯を手に暗闇を巡るという形が印象的ですが、ここにはどのような背景が込められているのでしょうか。
かつて初代住職・龍海大和尚様が四国88ヶ所巡りをされました。当時のお遍路は途中で野宿をすることも当たり前で、夜中には提灯の明かりを灯して行かれたと聞いております。
夜中は真っ暗闇、まさに「一寸先は闇」という状態ですが、山の方へ向かい、耳を澄ますと、カサカサと草木の揺れる音や、川のせせらぎ、虫の鳴き声、さらに遠くへ耳を澄ますとゴーッという滝の音も聞こえ、その様子はまるで仏様の息吹のようであったといいます。
暗闇の中で集中していると、我々の観念では計り知れない、尊いものに囲まれているのだということに気づくことができます。これは真言宗の教え、真言密教に通ずるものです。この感覚を現代でも実際に体験していただこうと考えました。
──「提灯会」は今回初めての開催とのことですが、企画にいたった経緯をお聞かせいただけますでしょうか。
今回の「提灯会」は、8月16日から9月16日までの約1ヶ月間、みなさまに少しでも龍海大和尚様がご経験された体験を経験していただき、自然の世界を感じていただくとともに密教の教えに触れていただこうと企画しました。
「一寸先は闇」という状態を経験される機会は今の時代ではなかなかないことと思います。暑い盛りではございますが、納涼の意味も込めて涼やかになっていただければと思います。
──読者のみなさまへメッセージをお願いいたします。
あらゆる事が満ち足りている現代ですが、その逆に身を置くことで気持ちを0、原点の状態に戻していただき、仏様の世界観を感じていただけたらと思います。その中でみなさまがどのようなことを思い描かれるのか、ひとつの精神修行として見つめ直していただけたら幸いです。お越しをお待ちしております。
──ありがとうございました!
* * * * *
玉川大師「提灯会」は9月26日まで毎日開催。9時から16時30分まで開場(受付は16時まで)しています。暗闇の中で耳を澄ませる経験は、いままで自分も知らなかった自分の姿を見せてくれるかもしれません。
取材協力:玉川大師
(天谷窓大)
提供元・おたくま経済新聞
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