そこで研究チームは、参加者を高濃度の二酸化炭素にさらす実験で検証してみました。
二酸化炭素濃度の高まりで「睡魔」が発生すると実証!
チームは今回、二酸化炭素濃度をコントロールできる実験室を用意しました。
実験には11名の健康な成人男性(平均年齢24歳、身長177センチ、体重67キロ)に参加してもらい、日中の眠気を客観的に測定できることで知られる「睡眠潜時反復検査」を行っています。
この検査は通常、日中2時間ごとに4〜5回の短い睡眠をとってもらい、その際の消灯〜入眠開始までの時間(これを「睡眠潜時」という)を測定するものです。
睡眠潜時が短いほど早く寝落ちしているわけですから、日中の眠気が強いことを示します。
参加者11名には睡眠不足にならないよう、検査前の1週間は7時間以上の十分な睡眠を取ってもらいました。
そして二酸化炭素濃度の影響を調べるため、日中2時間ごとに4回行われる各30分の睡眠検査中に、換気状態が悪い室内環境に近い5000ppmの二酸化炭素濃度にさらしました。
その結果、平常時の二酸化炭素濃度に比べて、5000ppmの二酸化炭素濃度にさらされた場合、参加者の睡眠潜時が有意に短くなり、はっきりと眠気が強くなっていることが示されたのです。
これに加えて、参加者本人たちも「二酸化炭素濃度が高いときに眠くなった」と主観的な眠気も大幅に強くなっていました。
以上の結果から「室内の二酸化炭素濃度が高くなると本当に眠くなる」ことが客観的な証拠によって証明されました。
二酸化炭素濃度が高まることで眠気が起きるメカニズムについては、空気中の酸素濃度が少なくなることで、脳や体内に十分な酸素量が行き届かず、酸素不足によって脳の集中力が低下したり、疲労感や倦怠感が生じることで眠気が発生すると考えられています。