ppmは100万分の内のどれくらいの割合かを示す単位で、1ppmは0.0001%です。数値が1000ppmだと、その環境中の二酸化炭素濃度は0.1%となります。

では身のまわりの二酸化炭素濃度を比べてみましょう。

まず、屋外の一般的な大気中の二酸化炭素濃度は約360ppm前後です。

この値だと「新鮮な空気」と判定され、快適に過ごすことができます。

ただ現在の世界的な二酸化炭素濃度の平均値は417.9ppmとされており、1750年の工業化以前の平均的な数値である約278ppmと比べると50%も増加しています。

これに対し、屋内の平均的な二酸化炭素濃度は1000ppm以下です。

この1000ppmが境界線となっており、この数値を超えると「室内環境が悪く、換気不足」と判断されます。

しかし1000ppmを多少超えるくらいでは、特に人体に問題は生じません。

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ところが数値が3000ppmを超えると、不快感の発生、集中力の低下、呼吸数の増加が起こり始めます。

先行研究では、混雑時の電車を閉め切った状態で約9分間走行すると、車内の二酸化炭素濃度が3200ppm程度まで上昇することが示されました(産総研, 2021)。

そして二酸化炭素濃度が5000ppmになると、眠気や倦怠感が生じ始めます。

5000ppmは何も珍しい状況ではなく、何十人もの人が集まった状態で換気せずにいると容易に達する数値だといわれています。

ここから6000〜8000ppmになると人体にとって危険なレベルに入り、過呼吸や体の震え、意識レベルの低下が起こるとされています。

このように環境中の二酸化炭素濃度が高くなるにつれて眠くなることは多くの人が経験済みですし、先行研究でもたびたび報告されてきた事実です。

しかし一方で、「二酸化炭素濃度」と「眠気」の関係性を調べた研究の多くは、眠くなった当人による主観的な報告に留まっており、両者の関係性を客観的に測定した調査はありませんでした。