教授の理論はアンドリーセン氏が「現在、支配的な音楽会社も、Apple社のiTunes、SpotifyやPandoraなどのソフトウェア企業である」とした音楽配信サービスにもあてはまる。2000年代初め、ウォークマンが携帯音楽プレイヤーの主役の地位を占めていた時代のソニーは、アップルに比べれば大企業だった。しかし、CD販売の音楽事業を持つため、共食いを恐れ、音楽配信サービスに踏み切れなかった。
2001年に携帯音楽プレイヤーiPodを発売したアップルは、2003年にiTunes Storeを立ち上げ、安価(1曲99セント)で使いやすい音楽配信サービスを提供して大ヒットさせた。その後、iPhone(スマホ)、 iPad(タブレット型PC)を次々と大ヒットさせ、2024年世界時価総額ランキング1位を誇っている。
そのアップルがシリコンバレー生まれの音楽会社だとすれば、シリコンバレー生まれのテレビ局は、アンドリーセン氏が「今最も規模の大きなビデオサービス会社」とするネットフリックス社。2024年世界時価総額ランキング33位と日本勢トップのトヨタ自動車(42位)を上回る。
アンドリーセン氏はアマゾン、ネットフリックス、アップルがソフトウェアの力で躍進した事例を紹介した後、「この先10年、既存企業とソフトウェアの力を得た反乱者との間の戦いは熾烈なものとなるだろう」と指摘したが、最近の反乱者がチャットGPTでソフトウェアの力で今まさに世界を飲み込みつつある。
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