映画から農業、そして国防に至るまで、主要企業や主要産業のより多くがソフトウェア上で運営され、オンラインサービスとして提供されている。勝者の多くが、従来の産業構造に参入して(伝統的企業を)駆逐しているような、シリコンバレー流の起業家生まれのテクノロジー企業である。この先10年、私はより多くの産業がソフトウェアによって崩壊させられ、世界最先端の新興シリコンバレー企業が、多くの場合その崩壊を引き起こすだろうと期待している。

(中略)

今日、世界最大の書籍販売会社のAmazon社は、ソフトウェア企業である。同社の核となる能力は、基本的にすべてをオンラインで販売するというその素晴らしいソフトウェア・エンジンであり、小売店舗は必要ではない。それに加えて、Borders社が差し迫った破産の苦痛にさいなまれていたとき、Amazon社は、初めて物理的な書籍にとって代わる、Kindle向け電子書籍をプロモーションするために自社サイトを変更しようとしていた。今では、本ですらソフトウェアなのだ。

定期利用者数から、今最も規模の大きなビデオサービス会社は、ソフトウェア企業のNetflix社である。いかにしてNetflix社がBlockbuster社(DVDレンタルビジネス最大手)を骨抜きにしたかは古い逸話となっているが、今、その他の伝統的なエンターテイメント会社がまさに同じ脅威に直面している。Comcast社、Time Warner社などの各社は、TV Everywhereといった、映像コンテンツを物理的なケーブルから解き放ち、スマートフォンやタブレットに提供するなどして、自社をソフトウェア企業へと変革することで対応しようとしている。

現在、支配的な音楽会社も、Apple社のiTunes、SpotifyやPandoraなどのソフトウェア企業である。伝統的なレコード会社は、ますます、これらソフトウェア企業に対してコンテンツを提供するためだけの存在になっている。デジタル・チャンネルからの業界売上は、2010年に46億ドルになり総売り上げの29%にまで成長。2004年は総売り上げの2%でしかなかった。