若者の“パソコン離れ”が取り沙汰され、日本では10年ほど前から「新入社員がPCを使えない、キーボード入力に慣れていない」といった話が聞かれてきたが、今後は逆の現象が始まるかもしれない。小中学校で従来の「読み・書き」と同じように「タイピングスキル」も重視されはじめたのだ。

「読み・書き・タイピング」で小中学生の入力スキル向上中

日本では2020年から小学校でプログラミング教育が必修化。文部科学省のGIGAスクール構想推進により、小中学校で1人1台の学習用情報端末が整備された。文科省の指針では、小学6年生までに10分間でローマ字200文字程度の入力ができるようになることが目安とされている。

クラウド型デジタルAI教材「らっこたん」を使用した「第4回全国統一タイピングスキル調査」の結果(3月公開)からは、特に小学6年生のタイピングスキル向上が顕著だったことが分かる。

また、同教材を使用した全国実証プロジェクトの参加者数が目標の100万人に到達したことも7月に発表された。131の自治体および2184校から参加申し込みがあったという。

「プログラミング教育 HALLO」も、「夏休みの朝活」として小中学生向けタイピングキャンプ2024を開催。さらに、2学期直前の8月27日にも全国の小中学生を対象としてタイピングコンテストの開催を発表したばかり。こうした動きは徐々に広がっており、“タイピングスキル”の注目度を感じさせる。

成長セグメントはゲーミング、メカニカル、エルゴノミクス

音声入力も徐々に浸透しているが、精度はまだ改善が必要な状況という指摘も。キーボードを使ったタイピング入力は、当分の間は最も一般的な入力方式であり続けるだろう。

ところでキーボード全体でみても、市場規模の拡大は堅調だ。需要増のゲーミングキーボードやメカニカルキーボードはそれぞれ7%や11%の成長率が予測されている。

メカニカルキーボードは、初期費用は高いものの耐久性やカスタマイズ性も高く、プログラマーやゲーマー、タイピングマニアなどに愛用されることが多い製品だ。