この結果は、脱メチル化の変化が脳内の自然な回復プロセスの一部である可能性を示しています。
もし、このようなメチル化のロック解除を誘導する薬剤を開発できれば、病気や事故で失われたニューロンを再生させる治療法として活用できるかもしれません。
生成された新しいニューロンは、失われた記憶や人格そのものを復元するわけではありませんが、残存するニューロンと接続することで、記憶や認知機能の回復を促進する可能性があります。
研究者たちは今後、ヒトにおける脳再生技術の応用を目指して研究を続けると述べています。
脳の再生は健康寿命の延長やアンチエイジングにおいても重要な課題です。
もしかしたら未来の病院ではアルツハイマー病患者や脳卒中患者、さらに最近物忘れが気になる人などに対して「脳細胞補充薬」が処方されるようになっているかもしれません。
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参考文献
Epigenetic changes reprogram astrocytes into brain stem cells
https://www.eurekalert.org/news-releases/1056564
元論文
DNA methylation controls stemness of astrocytes in health and ischaemia
https://doi.org/10.1038/s41586-024-07898-9
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部