その結果、先と同じく、幸福度が最も高い人は4つの人生活動に情熱的であることが示されましたが、日々の雑用や勉強など、気乗りしない活動に対しては情熱を持っていませんでした。

つまり、幸福度の高い人たちであっても、つまらない活動に対してはちゃんと「つまらない、気乗りしない」と感じているようです。

ところが重要な違いは別にありました。

幸福度の高い人たちは、つまらない活動に対する「自己調節」のレベルが有意に高く、自主的・自発的に意欲をかき立てて取り組んでいることがわかったのです。

これは幸福度の低い人たちには見られない傾向でした。

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ミュージカルの世界に入ったつもりで掃除をしてみたら幸福感は高まるかもしれない/Credit:canva

両者の違いをわかりやすく言い換えると、「やらされている」「やっている」かの違いになります。

幸福度の低い人たちは気乗りしない活動を「やらされている」という意識でこなしていましたが、幸福度の高い人たちは同じ活動を「自らやっている」という意識で取り組んでいました。

こうした「自己調節」の能力は、

・押しつけられたタスクの内に目標を見つけ出し、それを達成するための計画を立てられる

・怠惰や不安、怒りの感情に流されず、感情を適切にコントロールして、ネガティブな行動に結びつけない

・目先の欲求や誘惑を抑制し、長期的な利益を優先できる

・ストレスフルな状況にもリラックス法やポジティブ思考で対処し、心のバランスを保つことができる

などなど、常に精神面をポジティブに保つことに繋がります。

こうした「やらされている」か「やっている」かの意識の違いが、幸福度の差に現れているのかもしれません。

まとめ

以上の結果を踏まえて、研究チームは、

幸福感が常に高い人は

(1)日常の楽しみはほどほどに(必死になりすぎない)

(2)日常生活に必要な仕事(家事など)は楽しんで取り組む

ことが重要だったと結論しました。