しかし、こうした気乗りしない活動を「自分の成長に繋がるから」とか「今終わらせておいたら後が楽になるから」とポジティブな理由をつけて、自主的・自発的に取り組めるのが「自己調節」の力です。
研究チームは、この「情熱」と「自己調節」に関する2つの仮説が正しいかどうかを検証しました。
いつも幸せな人の「心理的な姿勢」が明らかに!
今回の調査ではまず、幸福度が高い人が幸福度の低い人に比べて、日常の楽しく意義のある活動にどのような情熱を向けているかを調べました。
調査はアメリカとカナダで募集された409名の若年成人を参加者としています。
参加者は学業・好きな趣味・恋愛関係・友人関係という4つの人生活動(楽しく意義のある活動)に対する情熱を評価する質問に回答しました。
それと並行して、充実感・生活満足度・生きがいの3つの尺度による日常的な心理的幸福度も測定しています。
データ分析の結果、心理的幸福度が最も高い人(上位25%と定義)は、幸福度が低い人(下位25%)と比較して、4つの人生活動すべてに情熱的であり、特に「調和のとれた情熱」のレベルが有意に高いことが明らかになったのです。
これは仮説で予想された通り、楽しく意義のある活動に際しては、
・自分で十分にコントロールできるレベルの情熱
・活動に対してポジティブな感情や充実感が感じられる情熱
・他の生活や人間関係に支障がなく、無理のないペースで続けられる情熱
が幸福度の高まりに繋がっていることを示していました。
幸せな人は「自分を律する力」が高かった
さらにチームは別の調査で、幸福度が最も高い人々が家事や義務などの気乗りしない活動に対してどのように向き合っているかも調べました。
ここでも同じくアメリカとカナダで募集した516名の若年成人を対象としています。
参加者は先の調査と同じように、4つの人生活動に対する情熱のレベルと日常的な心理的幸福度を評価した後、気乗りしない活動に対する「自己調節」の程度も測定しました。