今回の研究により、数を扱った作業には「数字」を示す言語が必要であることが示されました。

人間が無教育のままで精神的に認識できる数はカラスと同じ「4」が限界であり、「5」や「6」でさえ該当する名詞(数字)などの独自の表現方法が必要だったのです。

また数に関する作業の正確さが、知っている「数字」の限界値よりも低い理由として、研究者たちは使用頻度や学習頻度をあげています。

数を読み上げる練習や実生活の舞台では、小さい数ほど使用頻度が高くなるため、数に対する慣れにバラつきが出る可能性があると考えられます。

近年の研究では、ハチなどの無脊椎動物も「4」までは数える能力があることが報告されており、「4」という限界値は脳の大きさによらずヒト・カラス・昆虫など幅広い動物で共通している可能性が指摘されています。

現在のところなぜ「4」が限界値となっているかは、詳しくわかっていません。

ただ「4」が認識できれば、木の実を石で砕くことは容易になるでしょう。

石を使って木の実を砕くには、自分の手・手に持った石・木の実・土台の石の4要素の理解が要求されるからです。

研究者たちは今後も数値認知における言語などが果たす役割を調べることで、人間の認知能力の不思議を解き明かしていく予定です。

※この記事は2022年2月公開のものを再掲載しています。

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元論文

Exact Number Concepts Are Limited to the Verbal Count Range
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/09567976211034502

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。