また12のようなかなり小さな数字であっても、私たちは3が4個あるいは4が3個という片手の指以下の数字の組み合わせで「認識」しがちです。
さらに7のような1ケタの数に対しても、3と4を足したもの、9も3が3つとして「認識」する人が多いでしょう。
漢数字もローマ数字も4になるとガラリと表記が変わり、サイコロの目も4から5にかけて点の数よりも図形としての認識を促す配置になっています。
小学生で習う九九ではより大きな数の掛け算を扱いますが、九九はあくまで言語的な暗記であり直感的な数の理解とは異なります。
過去に行われた子供たちが数を認識する過程の研究でも、興味深い結果が出ています。
子供たちは最初に1を理解し、次いで2、3、4を直感的に理解するようになります。
しかし5を学習した瞬間、6や7だけでなく、それ以降の名前がついた数字を一瞬で理解するようになるのです。
またニカラグアで行われた研究では、一部の先天性聴覚障がい者たちは4より大きな数字を表現できないことが示されました。
数を言語の形で耳から学習することができず教育も不十分な場合、4を超える数の認識にも大きな困難があったようです。
さらに近代的な教育が行われていないピラーア族とムンドゥルク族の成人で石を扱うテストを行ったところ、扱う石の数が4個を超えると不正確さが増すことが示されています。
この結果は、「1から4」までと「5以降の数字」では、本質的に異なる認知が働いていることを示しています。
つまり「1から4」までは本能で数え、「5以降」は言語的な知識で数えている可能性があるのです。
しかし、これまでの研究では、数を数える能力の測定方法が多種多様であり、その方法も必ずしも適切ではありませんでした。
そこで今回MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究者たちは極めて簡素かつ強力な説得力を持つ数を数える能力の測定方法を実施することにしました。