全員が心身ともに健康で、恋愛パートナーと交際しているか、結婚していて子供が1人以上おり、約半数は何らかのペットを飼っていました。

被験者にはfMRIで脳スキャンを受けている間、事前に聞かせた「愛情に関するシナリオ」「特定の感情を刺激しない中立的なシナリオ」のいずれかを頭の中でイメージしてもらいます。

また口頭での説明の後にはそのシナリオに相当するイメージも見てもらい、脳スキャン中にシナリオで誘発された感情に浸るように指示されました。

シナリオの具体例は例えば、中立的なものだと「ぼんやりと歯を磨いている」とか「バスの窓から何の気なしに外を眺める」といったものです。

愛情に関するシナリオでは、親から子供への愛情だと「あなたは今、生まれたばかりの子供を初めて目にしています。赤ちゃんは元気で明るく、あなたの人生における最高の奇跡です。あなたは赤ちゃんへの深い愛情を感じています」といったものです。

これを6つの対象で行い、中立的なシナリオと比較しながら、愛を感じたときに活性化する脳領域をまとめました。

脳の活性化は「愛する相手」ごとに違っていた!

データ分析の結果、人に対して向けられる愛情で活性化する脳領域はおおむね似ていたことがわかりました。

ただし愛情を向ける対象ごとに、活性化する脳領域の場所と活性化の強度の確かな違いが明らかになっています。

まずもって、6つの愛情の中で最も強い脳の活性化を示したのは「親から子供への愛情」でした。

それに次いで「恋人への愛情」が2番目、「友だちへの愛情」が3番目となっています。

人に対する愛情においては主に、大脳の表面に広がる一領域で、側頭葉と頭頂葉が接する「側頭頭頂接合部(TPJ)」、それから脳の前部である前頭葉の真ん中(正中線)が活性化していました。

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左から「恋人への愛情」「親から子への愛情」/ Credit: Aalto University – Finding love: Study reveals where love lives in the brain(2024)