人は「愛」という言葉を実に広い範囲で使っています。
しかし私たちは、家族に感じる愛と、恋人に感じる愛、ペットに感じる愛ではそれぞれ異なる感覚だと理解しています。
似ているようで違うこの感覚の根底にあるものとは、一体何なのでしょうか?
フィンランド・アールト大学(Aalto University)はこのほど、人々が愛情を感じている際の脳活動を調査。
その結果、脳が愛情を感じる場所や強度は「愛する相手」によって異なることが明らかになりました。
この研究ではロマンティックな恋愛愛情や親から子供への愛情、ペットや自然への愛情など6種類を調査しています。
研究の詳細は2024年8月26日付で科学雑誌『Cerebral Cortex』に掲載されました。
目次
- 脳は「愛情の違い」をどう感じているのか?
- 脳の活性化は「愛する相手」ごとに違っていた!
脳は「愛情の違い」をどう感じているのか?
愛情は私たちにとって最も大切で強い感情のひとつです。
愛情は親子供、恋人、友人といった人同士の絆を深めるだけでなく、動物や自然との良好な関係を保つ上でも深い影響力を持っています。
私たちは様々な対象に向けられる感情を同じ「愛」という言葉で言い表すことができますが、その一方で、脳がそれぞれの愛情をどう表現しているのかはわかっていませんでした。
愛情を感じている以上、私たちの脳内のどこかが活性化しているはずですが、例えば、恋人への愛情とペットへの愛情で活性化する脳領域は違うのか、また活性化の程度にはどのような差があるのかは詳しく解明されていません。
そこで研究チームは今回、恋愛パートナー・自分の子供・友だち・見ず知らずの他人・ペット・自然という6つの対象に愛情を感じている際の脳活動を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて測定しました。
本調査では、フィンランド在住の一般成人55名(女性29名・男性26、28歳〜53歳)を被験者としています。