そして腸内細菌などの共生細菌の存在は脳にとって、自分の親である腸と友誼を結んだ、古株のオジキ的な存在と言えるでしょう。

脳が腸内細菌の指令を受けて活動を変化させるのも、進化の過程をみれば納得できます。

腸内細菌を持たないマウスが「ボッチ」になる理由が明らかに

ただ全てのニューロンがニューロイドを起源にしているかまでは、断定できません

いくつかのニューロンは消化システムの制御機能よりも、筋肉細胞のほうにより多く一致する部分があるからです。

研究者たちは今後、海綿動物の細胞を分析することで、神経系の複雑な起源を解明できると考えています。

生命の進化過程の探求は今後も、豊かな思考の糧を与えてくれるでしょう。

※この記事は2021年11月公開のものを再掲載しています。

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参考文献

More than a gut reaction
https://www.embl.org/news/science/more-than-a-gut-reaction/

元論文

Profiling cellular diversity in sponges informs animal cell type and nervous system evolution
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abj2949

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。