また、これらの影響は食物連鎖を通じて広がり、最終的には人間の食品安全性にも影響を及ぼす恐れがあります。
マイクロプラスチックは、海洋の食物連鎖以外にも食品や水、空気を通じて人体に摂取される可能性があり、例えば、粒子が消化器官や血液中に入り込むことで内分泌系や免疫系の乱れを招き、アレルギーや炎症反応を引き起こす懸念が指摘されています。
ボトル入り飲料水や水道水を含む飲料水は、人間の食生活におけるプラスチックの最も大きな原因であり、WWF(世界自然保護基金)が裏付けた2019年の報告書によれば、平均的な人は毎週約1,769個の小さなマイクロプラスチック粒子を摂取しています。
マイクロプラスチックの人体への直接的な影響はまだ完全には解明されていませんが、医学誌『Environmental Science & Technology』に2024年3月に掲載された研究では、血管内にたまったマイクロプラスチックと、心臓発作(心筋梗塞)、脳卒中、死亡のリスクの関連性が初めて言及されており、人体への潜在的なリスクは今後の課題となっています。
プラスチックの海洋汚染は深刻で早急に解決すべき問題ですが、上記のとおり人体へのプラスチックの摂取経路は海洋だけでなく多岐に亘ることから、もはや無視できる状況ではありません。
排出済みのプラスチックに対する決定的な対応策の模索が続く現在において、海からプラスチックを回収するための最善のアプローチは、回収する部分に焦点を当てるのではなく、プラスチックの元々の発生源に焦点を当て、可能な限り代替品を使い、再使用及び再利用を促進する等、当面は私たちの地道な活動が重要となっています。
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参考文献
Can We Scoop Out All The Plastic From The Oceans?
https://www.scienceabc.com/nature/can-we-scoop-out-all-the-plastic-from-the-oceans.html