訪問看護は介護保険制度以前から制度化された歴史的経緯もあり、医療保険と介護保険の両方にまたがり依頼ルートも主治医とケアマネの二重になっている等、複雑である。きちんとした訪問看護ステーションで学んでいない未経験者を管理者に仕立てれば、その理解など十分ではないだろう。主治医も近年の訪問診療クリニックは有料老人ホームと共依存なので、ホーム側の言うなりに訪問看護指示を出すだろう。入居者と働き手も生きるために運命共同体、ホーム運営会社のやり放題である。

思い返せば筆者が96年に経験2年目で訪問看護に飛び込んだ、それは大学病院でも治せないALS等の難病なら、自宅療養できればQOLが高いだろう、その担い手は訪問看護だと考えた。しかし昨今のエセホスピスホームは病院では長々介護などできない看取れない、自宅で介護できない看取れないからの受け皿である。つまりはバラマキ老人医療での盲目的延命が根源と言える。

超高齢化で弱体化するわが国経済国家財政を食い物にする悪徳業者は、重罰制裁すべきである。しかしその邪悪を呼び寄せた病根、バラマキ盲目的延命医療を蔓延させたままでは、さらに新手の悪徳が現れるだけだろう。

今回の介護保険報酬改定では訪問介護(ホームヘルプ)が減算され問題になったが、その原因はエセホスピスホームで荒稼ぎする事業者が見かけ黒字を押し上げたからだった。そこで改定寸前3月半ば過ぎに、サービス付き高齢者専用住宅の併設型訪問介護の報酬12%カットが発表された。それまで噂も無くまさにステルス潜航からの急浮上、厚労省も見るべきところは見ていたか、と想ったものである。

しかし要も無いのに早朝深夜や無駄に週何度も二人で押しかけるような不適切なケアプランで月に100万円も荒稼ぎするなど、もっとプランそのものからしっかり規制また監視する必要がある。不正が明るみに出た以上、エセホスピスホームのレセプト(報酬請求書)はチェックを強化し厳しく取り締まり、罰則付き法整備も国・厚労省・自治体は考えるべきだ。

老人医療バラマキ政策の成れの果て