ところが1フロアに15、6名(室)ほどの利用者に昼間でもスタッフがせいぜい3人、半分は60歳超えた人で経験も多くない、利用者は書類上は要介護1とか2になっていたが、介護認定審査委員を務めた私の眼には良くて要介護3、ほとんどは4か5。

ほとんど自分で動かない、リハビリも実質無いのに食事だけはたっぷり、なので皆ドラム缶のように肥えた体にヒョロヒョロの手足でフラフラ歩くか車椅子。寝たきりばかりの特養一歩手前、であった。「重介護」を余儀なくされあっという間に膝半月板断裂の重傷、しばらくトイレもやっとで急遽退職、ひどい目に遭った。

それでもまだ死期が近くはない、自力で食事を摂れる人たちが大半である。しかしエセホスピスホームは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病などの体が動かなくなる難病や、死期が近い人、寝たきりで食事すらできず胃瘻など経管栄養で栄養注入し「無理やり生かされている」ような人たちが対象とうたっている。

しかし「外部サービス利用」つまり併設訪問看護ステーション・ヘルパーステーションのケアを利用するので、施設には最低限の事務員程度しかいない、コールボタン押してもすぐに来ることは期待し辛い。

今回問題になった「不正・不適切請求」の手口は、必要が無いのに加算が取れるので二人で訪問する、わざわざ営業時間外に訪問する、必要以上の回数訪問する等で、しかし大したケアはしていなかったようである。

訪問看護は介護保険ではヘルパー同様に30分単位の算定だが、特に難病や末期の訪問看護は医療保険適応となり30分から90分まで一律料金となる。これを悪用し35分で切り上げて90分分の報酬をせしめていたようである。複数名訪問は人工呼吸器を装着している、体が大きい、ケアに抵抗する等で危険がある場合のみが本来算定条件だが、それを誤魔化していたようである。つまりは、詐欺だ。

訪問看護の現状と問題点

そもそも近年の訪問看護の中には、血圧測定して世間話程度で何の専門性も無いものも少なくないとも聞く。一方で人工呼吸器や在宅中心静脈栄養その他、病院のHCU(高度治療室)レベルのケアをしても、報酬は同じである。がん専門看護師や緩和ケア認定看護師がケアしても、ただの看護師でも、報酬は同じである。制度の不備を悪用されてしまったわけである。