丸川氏本人が、マスコミの取材に対して、ノルマ超過分をパーティー券売上納付額から除外する方法による寄附だったこと、「資金は(自分の)口座で管理していた」と述べ、自分個人の口座で管理していたことを認めているのである。

このような場合は、検察官の取調べで、「政治家個人宛の寄附」であることを認めさせることは、それ程困難ではないはずであり、政治資金規正法21条の2違反で略式請求すると同時に、それを議員の個人所得として課税するよう、国税当局に通報することもできたはずだ。

堀井氏の裏金はどちらなのか

堀井氏についても、丸川氏の場合と同様に、派閥からの裏金を、「政治家個人宛の政治資金の寄附」として受け取ったからこそ、有権者への香典、枕花の贈与という収支報告書に記載して表に出すことができないお金として使っていた、ということであろう。

派閥からの裏金が政治団体宛だったのであれば、「団体の裏金」を堀井氏が横領して香典等に充てたことになるが、あまりに不自然不合理だ。

堀井氏が派閥から受領した裏金を政治団体「ともに歩き学ぶ会」宛ての寄附ととらえ収支報告書に記載していなかった虚偽記入として起訴するのは実態に反していると言わざるを得ない。

裏金事件における検察の大甘処分と今回の起訴

今回の裏金事件では、議員本人の取調べで、「収支報告書に記載しない前提の金である以上、資金管理団体、政党支部などに宛てた政治資金ではない」として、収支報告書を提出不要の「政治家個人宛の寄附」として受け取ったことを認めさせる方向で追及する捜査を行うべきだった。それを行っていれば、実際に、「政治家個人宛の寄附」であること立証でき、政治資金規正法21条の2第1項違反で起訴し、議員失職に追い込める事例も相当数あったはずだ。

しかし、実際の検察の捜査は、それとは真逆の方向で、「還付金」「留保金」が資金管理団体などの政治団体に帰属していることを認めさせ、それを政治団体の政治資金収支報告書に記載しなかった問題としてとらえようとした。