株式市場は、実物経済に左側でも右側でも直接につながっている。これは実物経済の影響を受けやすいことを意味し、具体的には、株価にそれぞれの会社の状況が反映することを示している。その反応度は利子への、それよりもはるかに高いのがふつうである。

株価はミクロの事情をすぐに反映するが、マクロ現象である利子率はそうではない。ある企業の利潤が少なくなったからといって、借入金利はすぐに上昇しないが、株価はすぐに下がるのである。株価は当該企業の収益状況によって決まる。これが株価第一原則である。

証券市場の金融化

資本主義の発展とともに遊休貨幣の蓄積が進む。利潤を求めて運動する諸資本からの需要より、その形成・供給は多くなるから他への展開が計られる。そのひとつが証券市場である。こうして金融と証券の融合が始まる。図に示したよう、両者は長期金融と社債市場を媒介項にゆるやかに接合していたが、本格的な融合が進む。それは経済現象の表層では借金をして株式を買うという行為として現われる。

株式は現金で購入する。その現金は借入で調達される。株価は需要と供給で決まる相場現象だが、需要を構成するのが借入なら、借入金利が需要を決定することになる。こうして株価の決定要素に利子率が忍び込む。利子率が株価を決定することを株価第二原則と呼ぶ。第一原則に第二原則はかぶさるように展開する。第一原則はなくならないが、第二原則がやがて優勢になる。それが今日の状況である。

配当の利子化

個々の企業は、利潤の一部を配当として株主に配分する。株主が経営に関心を持たない、いわゆるレントナー化するに従って、配当は利子とみなされるようになる。これも利潤原理世界への利子原理の侵透を促進する。配当を株価で割ったもの、「配当利回り」はもはや利子率そのものであるから、一般的な利子率が下がれば配当が同じなら株価は上昇する。利子率が株価の決定要因になっている。