2024年8月8日、読売新聞
もちろん当の本人は否定・・を認めていないし、否定された側も、「自分の考えは副総裁とかわらない」「金融政策運営の考え方について私と副総裁の間で違いはない」と、国会の閉会中審査で述べている。
総裁は利上げの継続を示唆し、副総裁は現状維持を主張した。本来なら、政策決定会合をもう一度開いて、“修正”するなら総裁が会見をやらねばならなかった。社長の発言を副社長が否定する。民間企業ではこのようなことは起きようもない。二人の発言が違ったのは、状況が変化したからだと言っているが、状況とは暴落のことであり、それの引き金を引いたのは総裁発言なのだから、この言い訳は通らない。
これでは、総裁は床の間の置物だ。実権は、日銀生え抜きの副総裁にあるのか? それとも、指示している財務省か。翌日の3,217円の反発を何とか守って株価下落の防波堤にしようと思ったのか。日銀の独立性という虎の子を守りに行ったのかもしれないが裏目に出た。
総裁を挟み撃ちにするように、もう1人の副総裁が、今度は山梨県の甲府で講演し、利上げには物価見極めが必要、と述べた。3人の発言を読売新聞が一覧表にしている(表1)。
副総裁の1人は日銀のハエ抜き、1人は財務省から金融庁長官になった人で、両脇を固める体制だが、現状では中央の総裁の影が薄くなった印象だ注3)。
一連の出来事に、マスコミも批判的だ。
「9人の政策委員の会合が開かれないなかで政策方針が明確に変わったかのような副総裁の発言は、明らかに踏み込みすぎである」
2024年8月23日、日本経済新聞「大機小機」
カジノ化史上最大の下げ、の直後に史上最大の上げ。値動きのスピードも以前には考えられないものだ。8月5日は午後2時からの1時間で5%以上の急落となった。(図2)