② 日本の個人投資家については、信用取引の整理売りだ。8月1週に3,581億円の売り越しになっている。セミプロの投資家は、自己資金は証拠金にして、購入資金そのものは借金だ。思惑が外れて株価が下がってしまえば、いやでも売らねばならない。コンピューターが指令に従って自動的に売ってしまう。投資家は時と場合を選べない。8月5日の午後2時過ぎにこれが起きたようだ。たったの一時間で日経平均は2,000円も下がった。

一方で7月5週、8月1週とも現物投資家は3,000億円の買い越しだ。しかし8月2週に株価が戻り歩調になった途端に現物投資家は売り越しになっている。日本の個人投資家は右肩上がりの株価上昇を想定していない投資家が多いので、安値では買うが、上がればすぐ売ってしまう。彼らは想定している株価水準が現値と比較して値幅が小さい時(例えば35,000円の時に37,000円は7%)に使うのがレバレッジ型のETFだ。これはレバレッジをかけていない投資と比較して、儲けも損も2倍となる為、今回の急落局面では投げ売りがでたと思われる。

③ 折悪しくアメリカの景気悪化予想が出た。でも、こちらは説明力が弱い。むしろアメリカの景気は持続しているという予測もある。第一、これでは日本の株価がアメリカをはるかに上回って下げた(図1)ことを説明できない。そして、本当に景気後退が心配なら、アメリカは金利を下げに行く(9月の実施を決めたようだ)。それは、のちに述べるが、株価の刺激要因である。

図1 株価の推移 出典:日本経済新聞(2024年8月7日)

④ AIによる株売りの連動。よく主張されるのだが、これには確たる証拠がない。どんなプログラムが使われているのか、AIがどんな学習をしているのかわからない。もし株価が暴落しているときに売れば儲からない訳だから、賢いAIがそんなことをするだろうか? 賢いAIなら、これはチャンスと認識するはずだ。