「ホ方式の時は、送られてきた画像を人間の目で確認する必要がありました。それはつまり、照会や審査に時間がかかるということです。

銀行口座もクレジットカードも、登録を済ませてから実際に利用できるまでタイムラグが発生してしまいます。ですが、ワ方式の定着により即時提供・利用可能の金融サービスが実施できます」

さらに、マイナンバーカードを活用することにより提出書類を省けるという効果もあるそうです。

「たとえば、住宅ローン。これを組みたい時、マイナンバーカードを使うワ方式なら所得や就労に関する証明書も一括で提出できるという仕組みもいずれ整うと思います。もちろん、審査も極めて短時間で完了します」

「マイナンバー」と「マイナンバーカード」は別物

「最後にひとつ、付け加えなければならないことがあります。それはマイナンバーカードを使ったワ方式のeKYCは、マイナンバーの提供ではないという点です。

ワ方式のeKYCに、12桁の個人番号であるマイナンバーは一切使いません。仮に金融機関で個人番号を求められたとしても、それはワ方式とは別の仕組みのものです。マイナンバーカードのICチップ認証をしたらその人の個人番号も知られてしまう、ということではありません」

マイナンバーとマイナンバーカードは混同されてしまいがちという現実があります。その混同から、「マイナンバーが知られるとマイナンバーカードのICチップにある情報が漏洩してしてしまうのでは?」という誤解もあるといいます。

「とはいえ、マイナンバーカードという名称自体がこうした誤解を生みやすいというのも事実なので、デジタル庁では2026年のカードの様式変更に合わせて、名称も変えることも計画しています」

現状、マイナンバーカードは「簡単に情報が漏洩してしまう」といった誤解が、残念ながら根強く存在します。しかし、ワ方式のeKYCの確立により、そうした誤解も解消していく可能性もあります。