「現代のインターネット社会において、世界中に存在する不特定多数の悪意ある人から情報を防衛できるというのは、極めて大きな意味があります。

マイナンバーカードの情報を盗むためには、それを持った本人に物理的に接近しないと目的を達成できません。そうした意味で、情報漏洩のリスクはぐっと減ります」

ICチップの偽造は不可能

また、いま流通している偽造マイナンバーカードは、あくまでも券面のサイズや外見だけを模した代物で、日下氏曰く、「内蔵されているICチップを完璧にコピーしたものは、技術的に困難」とのこと。

マイナンバーカードのICチップには「電子証明書」が搭載されています。この電子証明書を何らかの形でコピー、あるいは抜き取ろうとした場合、自動的にICチップが壊れてしまう設計になっているといいます。

「『007』とか『ミッション・インポッシブル』とか、そのあたりのスパイ映画みたいなものだと思ってください。技術的に考えた場合、ICチップから電子証明書を取り出す行為はほぼ不可能と言えます」

現在主流の偽造マイナンバーカードは「低品質」

携帯電話の新規契約や機種変更、銀行口座の開設など、偽造マイナンバーカードによるなりすまし被害は実際に発生しています。

しかし、これはマイナンバーカードの設計そのものの瑕疵ではなく、日本の通信会社や金融機関ではICチップ認証による本人確認が今でもマストではないためと日下氏は語ります。

「現在流通している偽造マイナンバーカードは、クオリティーとしては非常に低い代物と言わざるを得ません。たとえば、誰かが私の顔にそっくりのゴムマスクを作ってそれを被り、“私は日下光だ!”と主張することはできるかもしれません。

しかし、私のDNAからクローンを作ってそれを短期間で大人に成長させることは、よほどの技術革新がない限り不可能ではないでしょうか。それと同じくらいの差です」