調査では、1マイルを4分未満で走った人たちが記録されているデータベース(サブ4 アルファベティックレジスター)を使用し、ランナーの情報を集めました。

そして、バニスター氏を含む1マイルを4分未満で走った最初の200名の選手の生存状況を詳しく調べ上げ、一般人口との平均寿命を比較しました。

なお、最初の200名に限定した理由は、それよりも後に記録を達成した人を対象とした場合、若すぎるがために、現在まで追跡しても、長寿効果を一般人口と比べることが難しかったためです。

調査の結果、200人のうち、60人が既に亡くなっており(死亡時の平均年齢:73.6歳)、140人が生存していました(平均年齢:77.6歳)。

そういった200名のデータと、性別、年齢、出生年、記録を達成した際の年齢、国籍を考慮した上で一般集団と比較したところ、1マイル4分切りで走ったランナーは、平均寿命よりも4.74年長生きなことが分かりました。

この結果をもとに、ハイコウスキー教授らは、極端に激しい持久系運動が寿命に有害であるという見解を否定する結果になり得ると指摘しています。

そして、仮に中距離走のトップアスリートが長寿に繋がる場合、その生理学的メカニズムの一因としては、体内に取り込める酸素の単位時間当たりの最大値で、ランナーのパフォーマンスと深い関係を持つ最大酸素摂取量の高さが関与している可能性があると考察しました。

中距離走のトップアスリートは優れた最大酸素摂取量を有する
中距離走のトップアスリートは優れた最大酸素摂取量を有する / Credit: commons.wikimedia

また、こういったトップアスリートは遺伝的にも恵まれている上、トレーニング面以外にも健康的なライフスタイルを確立していることも結果に影響した可能性があるとも記しています。

ちなみに、今回分析された200名をオリンピックの出場有無で生存状況を比べてみると、あまり差がなく、強いていうと、出場しなかった人の方が長寿でした。