しかし、ごく最近になって、自分もこの厄介な問題を避けて通ることはできないということを実感するようになり、いささか当惑しているというのが現在の偽らざる心境です。

そういえば近頃、昔高校生時代に英語の勉強を兼ねて読んだ、イギリスの人気作家ジェームズ・ヒルトンの短編小説「チップス先生、さようなら」(Goodbye, Mr. Chips)の主人公、チップスのことがしきりに思い出されます。

映画「チップス先生、さようなら」

おなじみの名優ピーター・オトゥール主演で映画化されているので、ご覧になった方も多いと思いますが、これは、イギリスのある名門男子校(全寮制)の教頭を長年務めた名物教師のお話です。ストーリーは至って単純で、ここで詳しくご紹介するまでもありません。

私が気になるのは、チップス先生は、退職後も校門のすぐ近くに住み、学校の起床ベルで起き、朝食後は自宅のベランダの安楽椅子で日がな一日うとうと居眠りをしながら昔を回想するシーンが多いことです。

時々立ち寄ってくれる生徒たちと会話したり、若くして亡くなった愛妻の面影を思い浮かべる以外は、黙々と居眠り三昧。よくあれだけ眠れるものだと感心したものですが、私も最近急に、日中でも無性に眠くなり、夜の睡眠と併せて一日10時間くらいは寝ているのではないかと思います。

昔から老人になると睡眠時間が徐々に短くなると言われますが、私の場合は逆で、ちょっと異常ではないか、このままではいずれ脳ミソが溶けて、痴呆症になってしまうのではないかと思って、ネットで調べたり、かかりつけの医者(内科専門)に尋ねてみるのですが、「過多眠症」という病気はないらしく、とくに心配は要らないとのこと。その他には特にこれという持病はなく、日々割と健康に暮らしています。

血圧が突然200に

ただ、コロナ禍が始まる少し前、80歳を過ぎたある夏の終わりに、急に体調が変になったので、念のために、血圧計を引っ張り出してきて調べたところ、上が200をオーバーしていてびっくり。慌てて医者に駆け込んで診てもらったところ、彼曰く「これはまずい。一発ストライクアウトですな」