■開発のきっかけは…
いわさきの担当者によれば、件のサンプルは、昨年10月12日から今年4月6日まで開催中の醸造科学科展「JOZOO -醸造と発酵のせかい-」に展示するため作ったものだという。
開発のきっかけに関して、担当者は、「(イベントを主催する)東京農業大学のご担当者様から『シュールストレミングの展示も予定しているが、滅菌をしないため長期間の展示中に発酵が進んで缶が膨張して破裂してしまう可能性があって展示が難しい状況となっている。そのため食品サンプルが作れないか、もしくは缶のみの展示にするか検討している』とのお話がありました」と説明する。
強烈な臭いや密封状態の缶の中で発酵が進むため、取り扱いの難しい食材であるという懸念はあったものの、未知のジャンルに挑戦する思いは強く、社内でゴーサインが出たそう。食品サンプルに臭いはないが、見る人の嗅覚に訴えかけなければならない。
そのため、細部までこだわって作ったようだ。担当者は、「発酵が進むと魚の形が崩れてくるとのことでしたが、届いた見本は綺麗に魚の姿も残っていたのでこれでは見た目で匂いが伝わらないと感じました。そこで、エタノールに浸した後、水で少しふやけさせ発酵が進んでいる状態を表現しました。実際の状態を再現するだけでなく『食べてみたさ』も感じていただけるよう、皮側だけでなく身も見せるように色々な形で型入れし、着色や盛り付けを工夫して食品サンプルにしました」と話す。
たしかに、魚のふやけ具合が完璧に再現されている…。