■16~17世紀のヨーロッパ人
歴史的に見て人肉の消費者の中にはヨーロッパ人がいたという事実には驚かされる。実際、人肉食の習慣は驚くほど最近まで存続していたのだ。
16世紀から17世紀にかけて、意外にも多くのヨーロッパ人はミイラや人間の血液を含む人体を医療目的で消費していたのだ。この奇妙でやや陰湿な「医療共食い(medicinal cannibalism)」は、身体の特定の部分には強力な治癒特性があるという古代の信念や迷信に根ざしている。
エジプトのミイラは特に人気があり、細かい粉末に粉砕されてから経口摂取または局所的に塗布されていた。当時のヨーロッパ人はミイラの保存方法とその起源のエキゾチックな性質がミイラに神秘的な治癒力を与えてくれると信じていたのだ。そしてこの“ミイラパウダー”は、さまざまな病気に対する究極の万能薬として販売されていたのである。
もう1つの人気のある調合医薬品であるテリアック(theriac)は原材料に人間の血液が含まれており、強力な治癒特性があると信じられ、発熱から中毒まであらゆる治療に使用されていた。
古代ギリシャ発祥のテリアックは、ペスト流行中およびその後の中世ヨーロッパで再び人気が再燃し、1884年には薬剤師によってヨーロッパ全土で販売されていた。
もちろん、ミイラやテリアックの摂取には実際には何の医学的効果もなく、これらの習慣は、科学的理解の欠如と古代の文書や伝統への依存から生まれた迷信であった。医学知識が進歩するにつれて、人肉に対するヨーロッパ人の嗜好は薄れ、より効果的で科学的根拠に基づいた治療法が置き換えられ今日に至っている。
参考:「Ancient Origins」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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