■アゴーリ派:インド

 アゴーリ派(Aghori)はインドの神秘的で禁欲的な一派で、1000年の歴史の中で想像を絶する型破りな精神的実践を行っており、その中にはカニバリズムの要素が含まれているものもある。これらの実践は、純粋と不純に関する従来の概念を超越し、存在のあらゆる側面を包含しようとする彼らの信念体系に深く根ざしているということだ。

 アゴーリ派は、人生の最もタブーで忌まわしい側面に立ち向かい、それを乗り越えることによって精神的な啓発が得られると信じており、人肉食行為は死者の霊的エネルギーを吸収し、それによって生と死のサイクルを断ち切る手段であるという。

 すべてのアゴーリが人肉食行為を行うわけではなく。人肉食を行うアゴーリは宗派の中でもエクストリーミスト(過激派)だとみなされているという。彼らは通常、火葬場から死者の遺体を入手して人肉を消費したり、頭蓋骨を食べるなどの象徴的な行為に従事している。

 アゴーリ派のこの人肉食は非常に物議を醸しており、部外者にはその実践がグロテスクに見え多くの誤解を生んでいる。しかしこの道を歩む人にとって、それは生と死の根本的な二重性に対峙し、それに伴う恐怖を超越する方法であるという。近年、アゴーリ派は一部の学者や好奇心旺盛な研究者の注目を集めており、インドで広く普及している社会規範に挑戦し続けている彼らの独特の哲学と実践は魅力的な研究対象になっているということだ。

人間が犯してはならないタブー……古くから人肉食を実践してきた8つの古代文化【前編】
(画像=画像は「Wikimedia Commons」より,『TOCANA』より 引用)