しかしエンジンのコンパクトさと軽量性だけが、ENDURO VELOCE の驚異的ともいえる操縦性に貢献しているわけではありません。逆回転クランクシャフトのジャイロ効果がフロントホイールのジャイロ効果を大きく相殺するため、素早い切り返しが可能になります。これは特に、21インチのフロントホイールを装着するオフロードモデルでは非常に効果的です。
すべてのMV Agustaモデルと同様、パフォーマンスも最高レベルを誇ります。10,000 rpmで124 PS / 91 kWの最高出力、7,000 rpmで102 Nmの最大トルクを発揮します。高回転域で高出力が確保され、低回転域では瞬時にトルクが発生するという特性は、ライダーに走る喜びをもたらします。3,000 rpmでも、最大トルクの85%を発揮します。MV Agustaの675 ccエンジンや798 ccのエンジンよりも大きなボアストローク比、新形状のカムシャフトやタイミング設定によって、楽しさと実用性を両立するエンジンとなっています。
ダブルオーバーヘッドカムシャフトにはDLCコーティングが施され、フリクションを最小限に抑えています。
ライダーの快適性を確保するうえで、エンジンは重要な要素です。カウンターシャフトに加え、クランクギアを丹念に調整することで振動を低減しています。また、MV Agustaの卓越した技術力によって、作動中のエンジンの発熱は比較的低い温度で維持されます。これにより、快適性がさらに向上しています。
ライダーは、スムーズかつ正確な6速ギアボックスによりエンジンのパフォーマンスを十分に引き出すことができます。また、このギアボックスは左側ではなく、右側から取り外すことができます。EAS(Electronically Assisted Shift)はバージョン4.0となり、クイックシフト機能によってスロットルを開いたままシフトアップとシフトダウンが可能です。クラッチを操作する場面は減り、油圧制御によってスムーズかつ安定した操作が出来ます。