ベニクラゲよりはずっと大型で、体長10センチ前後となります。

ムネミオプシス・レイディの生活環(濃い青が新たに見つかった若返りのルート)
ムネミオプシス・レイディの生活環(濃い青が新たに見つかった若返りのルート) / Credit: Joan J. Soto-Angel et al., BioRxiv(2024)

ムネミオプシス・レイディは元々、アメリカ大陸の大西洋沿岸を原産地としていましたが、現在はアジアやヨーロッパの海にも広がっています。

彼らは餌がなくても、船のバラスト水(大型船舶が航行時のバランスをとるために船内に取り込む海水のこと)の中で何週間も生き延びられるので、大西洋を死なずに横断できたと考えられています。

しかしそのせいで、黒海や地中海の在来の生物と資源を奪い合っており、生態系や漁業に少なからぬ打撃を与えているのです。

そこで研究チームはムネミオプシス・レイディの生存力がどれだけ高いかを明らかにするため、ある実験をしました。

「若返りの秘術」の持ち主だった!

チームはムネミオプシス・レイディの成体を捕獲して2つのグループに分け、一方は餌を与えずに飢餓状態にし、もう一方は組織を切り取って断片化させました。

普通の生物だったら死んでしまう状態で、数週間様子を見ています。

上:飢餓状態、下:組織を切り取って断片化
上:飢餓状態、下:組織を切り取って断片化 / Credit: Joan J. Soto-Angel et al., BioRxiv(2024)

その結果、ムネミオプシス・レイディは数ミリ程の小さな塊へと縮んで行きましたが、死ぬことはありませんでした。

チームがこの段階で餌を与えてみたところ、彼らは2本の触手を生やして幼生段階の「シディッピド」となったのです。

そして何事もなかったように再び成長を繰り返し、大人のムネミオプシス・レイディに戻っていました。

(チームによると、すべての個体が若返ったわけではなく、実験では65匹中13匹が再生したという)

また繁殖能力も通常の個体と同じようにあったといいます。

成体が幼生に戻るまで。上2つが飢餓状態、下が組織を切り取ったもの。
成体が幼生に戻るまで。上2つが飢餓状態、下が組織を切り取ったもの。 / Credit: Joan J. Soto-Angel et al., BioRxiv(2024)