ウクライナのクルスク侵攻作戦について議論が華やかだ。これまで「ウクライナは勝利しなければならない」と主張してきた日本の大多数の主流派の軍事専門家や国際政治学者の方々は、一斉にウクライナの行動を称賛した。他方、私自身は、作戦の効果について疑念を抱いている。

「プーチン大統領を一泡吹かせてやったので痛快だ」というような心情と、「プーチン政権はこれで崩壊する」というような根拠不明な予測が、混在している印象がある。

また、国境付近のわずかな面積とほとんど住民がいない避難後の過疎地帯をウクライナ軍が占拠している状態が「二週間以上も」続いている、という事実の観察から、これで広大な東部地域でのロシア軍の進展を止め、さらにはロシアと占領地の交換交渉もすることができるはずだ、という大胆な期待までが引き出せるかも、私は疑っている。

それにしてもウクライナ「応援」派とアンチ・ウクライナ派のSNS上での戦いは、二年以上にわたって、かなり感情的な人格攻撃が飛び交うレベルになっており、非常に危険な話題になってきている。

情勢分析については、冷静になりたい。

クルスク情勢をめぐり、プーチン露大統領が10月1日までにクルスク州からウクライナ軍を駆逐するよう露軍に命じた、と報じられている。これは何を意味しているだろうか。