こうした結果について、多くの人は本来苦みのあるカフェインに甘味が加えられ飲みやすくなったことで、カフェインの摂取量が増えたからだろうと考えるかもしれません。
しかし甘味とカフェインの組み合わせが、ヤバい原因はそれだけではないようです。
甘味を美味しいと感じ、もっと摂取したいと感じさせるのは、甘味が脳の報酬系に作用して神経興奮物質ドーパミンの放出を促進させるためです。
そしてカフェインにもドーパミンに作用する働きがあり興奮作用や中毒性があると言われますが、カフェインは少し作用の仕方が異なっておりドーパミンを抑制するアデノシンという物質の働きを阻害することで、間接的に興奮物質ドーパミンの効果を強化しています。
そのため、ドーパミンの放出を促す甘味と、ドーパミンの抑制を阻害するカフェインの組み合わせは、予想外の相乗効果を生む可能性があるのです。
ところで体内時計というと、多くの人は脳内にあると考えているかもしれません。
確かに生物の体内時計は、脳の視交叉上核と呼ばれる場所が、周囲の明るさに反応して概日リズムを刻むことで機能しています。
朝日を浴びると体内時計がリセットされると言われるのは、明るさに反応してリズムを刻む脳の概日時計によるものです。
しかし体内時計は脳以外に細胞レベルでも存在していて、こちらは臓器それぞれの活動リズムを正常に刻む働きを担っています。
このため体内時計には、脳が制御する「中枢時計」と、臓器の活動リズムを正常に刻む「末梢時計」の二つが存在しているのです。
そしてカフェインは、中枢時計の機能には大きな影響は及ぼさないと言われています。そのため昼と夜の明るさの違いに脳が反応せず、時間がわからなくなるなんて問題は起こりません。
今回の研究でも、甘味カフェイン水の投与をやめたところ、マウスは通常の明暗環境に合った夜行性の活動リズムを取り戻しており、中枢時計の機能は正常であると考えられました。