さらに研究チームは、「冬には痛みがひどくなる」と信じ込むことで、ノセボ効果(プラセボ効果の逆)が生じているかもしれないと指摘しています。

では、実際に冬に関節痛が増しているように感じる場合には、どうすればよいのでしょうか。

研究チームは、天候など自分でコントロールできない要素ではなく、自分でコントロールできる要素に注目することが大切だと述べています。

気候に関わらず、運動の習慣を保つことが大切
気候に関わらず、運動の習慣を保つことが大切 / Credit:Canva

例えば、1年を通して(たとえ冬であっても)、もっと歩いたり、体を動かしたりするよう意識できます。

また体重の増加は関節に負担をかけるので、「食欲の秋」や「体型が隠れる冬」でも、適正な体重を維持できるよう努力すると良いでしょう。

また寒い部屋では眠りが浅くなりやすいため、冬場は特に、寝室を温かい状態に保つよう意識することも有効と考えられます。

この研究結果は、私たちが常識だと思っていた「天候と関節痛」の説に一石を投じるものです。

もちろん、この研究だけで、これまでの主張やメカニズムの解説が完全否定されたわけではありません。

それでも、自分の痛みの本当の原因を探るきっかけにはなるでしょう。

「天候が原因だからしょうがない」と考えるのではなく、自分の行動が関節痛の悪化の原因となっていないか、改めて自問してみると良いかもしれません。

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参考文献

No, your aches and pains don’t get worse in the cold. So why do we think they do?
https://theconversation.com/no-your-aches-and-pains-dont-get-worse-in-the-cold-so-why-do-we-think-they-do-235117

元論文

Come rain or shine: Is weather a risk factor for musculoskeletal pain? A systematic review with meta-analysis of case-crossover studies
https://doi.org/10.1016/j.semarthrit.2024.152392