しかし、シドニー大学に所属するフェレイラ氏ら研究チームは、「寒さや雨が関節痛に影響を及ぼす」という説を多くの患者が支持しているにも関わらず、「過去の研究の大部分と矛盾している」と報告しました。

天候と関節痛が直接関係することを主張するいくつかの研究に対しても、「全体的に規模が小さく、調査期間も短い。また天候以外に関節痛に影響を及ぼす因子を適切に調整できていない」と述べています。

つまり、実際に過去の研究を調べてみると、「寒さや雨が関節痛に影響を及ぼす」説を支持しないものが多く、仮に支持していたとしてもその研究の信頼性が低いというのです。

そこで彼女たちは、より正確な結論を提出するため、過去の様々な研究で得られたデータを統合し、より高い見地から分析(メタ分析)することにしました。

1万5000人のデータを改めて分析した結果

1万5000人以上の関節痛患者のデータを分析
1万5000人以上の関節痛患者のデータを分析 / Credit:Canva

フェレイラ氏ら研究チームは、11件の研究から世界中の1万5000人以上のデータを集めました。

これらの人々は、2万8000件以上の痛みを報告しており、そのほとんどは、腰痛、膝・股関節の変形性関節症(様々な原因により関節が変形し、炎症や腫れ、痛みが生じる)でした。

またその中には、関節リウマチ(免疫の異常により関節の痛みや腫れが生じる)や、痛風(尿酸の血中濃度が高いことが原因で、尿酸の結晶が関節に付着し蓄積する)も含まれていまいた。

そして、暑いか寒いか、湿度が高いか乾燥しているか、雨が降っているか、風が強いか、またいくつかの組み合わせ(例:暑くて湿気がある、寒くて乾燥している)など、様々な天候条件と、患者からもたらされる関節痛の報告の頻度を比較しました。

膨大なデータを用いて、関節痛と天候の関連性を改めて分析したのです。

雨や寒さが関節痛を悪化させるわけではないと判明
雨や寒さが関節痛を悪化させるわけではないと判明 / Credit:Canva