厄年がこれらの年齢になっている背景には散々な年(33)や死に年(42)のような語呂合わせもあると言われており、必ずしも体調を基準に決定されたとは言えません。

また今回の研究において被験者となった人々はアメリカのカリフォルニア州に住んでいる人々であり、日本人と遺伝的なプロフィールが異なっています。

しかしこれらの中に含まれる男性の43歳と62歳、女性の62歳は、今回の研究で発見された2つの老化のピークである44歳と60歳に非常に近くなっていることは注目できるでしょう。

ただ厄年の意味や概念、考え方は長い歴史のなかで変化しており、その変化には厄年とされる年齢そのものも含まれています。

実際、奈良時代に伝来した仏教書物には厄年は7歳、13歳、33歳、37歳、42歳、49歳、52歳、61歳、73歳、85歳、97歳、105歳と書かれていたとされています。

そういう意味では、古来からの厄年には生物学的な根拠はもともと希薄であると言えます。

しかし現代において他の厄年が排除された一方で、40代や60代が維持されている背景には、急速な老化に伴う体調の変化を、経験的な知識に基づいて取り入れている面があるのかもしれません。

実際、40代や60代は若さの維持という点において経験的にも、微妙なお年頃と言えるからです。

一方、医学的な面からみて今回の研究成果の重要性は計り知れません。

老化が平均して44歳と60歳という2つの時期で急速な進行をするならば、その時期にあわせて老化対策を集中的に行うという戦略がとれるからです。

もしどちらかあるいは両方の年齢において老化の進行を止めることができれば、効率的に老化全体を大きく遅らせることができるでしょう。

たとえば女性において44歳と60歳で起こる老化を止めることができれば、美魔女が実現する……という感じです。

現段階では、抗老化作用のある化学物質がいくつか知られています。