アメリカのスタンフォード大学(SU)で行われた研究により、人間の老化は厄年に近い44歳と60歳の2つの段階で急速に進むことが示されました。

研究によって追跡された13万5000種類の生体因子の実に81%が両方あるいはどちらかの年齢で大きく変化しており、年齢に応じて徐々に変化するのは全体の6.6%に過ぎませんでした。

この結果は、人間の老化は徐々に進むとするこれまでの常識が正しくなく、そもそも老化というものは一気に進む性質を持っていることを示しています。

研究内容の詳細は2024年8月14日に『Nature Aging』にて公開されました。

目次

  • 老化は「徐々に」ではなく「一気に」?
  • 老化は44歳と60歳で一気に進む

老化は「徐々に」ではなく「一気に」?

少なくない人々は、鏡をみて自分が思ったよりも老け込んでいることに気付くことがあります。

このような悲劇は、脳内で抱いている自分のイメージと、実世界の肉体の若さに大きな乖離が生まれていることに起因します。

ですが興味深いことに「ここ最近で一気に老け込んでしまった」というような感想は、3日に1回しか鏡を見ないズボラな人だけでなく、毎日鏡で身だしなみをチェックしているオシャレな人からも聞こえてきます。

もし老化が年齢にリンクして徐々に進むなら、少なくともオシャレな人からは「ここ最近で一気に」という印象は得られにくくなるはずです。

この経験談は(恐ろしいことに)容姿の老化がある時期に集中して起こることを示しています。

一方で、日本には古くから厄年の概念が存在します。

厄年の元々の語源は「役年」から来ており、これは一定の年齢に達した人々に公的な役職を与える制度を意味していました。

しかし現在一般に普及している厄年の概念は「特定の年になると災いが降りかかる」というものになっています。

また近年の生物学の進歩により、健康寿命が重視されるようになると、厄年は老化が露わになる年と、とらえる人々も増えてきました。