この情報量は、既存の生体分子研究と比較しても、桁違いと言えます。

もしこの規模の分析により、特定の年齢に生体分子や腸内細菌叢の数値に一致して大きな変化があれば、それを「老化」と解釈して「そもそも老化は一気に進む場合もある」と結論することができます。

老化は44歳と60歳で一気に進む

人間の老化は一気に進むのか?

答えを得るため研究者たちは得られたデータを分析しました。

すると研究対象となった生体分子の実に81%が、44歳と60歳の2つの段階のいずれか、あるいは両方で明確な変化を遂げていることが判明しました。

逆に年齢に伴って徐々に変化していった分子は全体の6.6%に過ぎないこともわかりました。

さらに44歳と60歳を比べると、変化した分子の内容がわずかに違っていることもあきらかになりました。

たとえば44歳の段階では、脂肪・カフェイン・アルコール代謝に関連する分子の変化が起こり、心臓血管疾患、皮膚や筋肉の機能障害が多くみられました。

一方60歳の段階では炭水化物やカフェインの代謝、心臓血管疾患、皮膚と筋肉、免疫、腎臓機能の変化が多くみられました。

最初の老化ピークである40代は女性にとっては閉経前後の時期ですが、研究者たちは「閉経」を老化の主因からは除外しています。

というのも、男性も同じ年齢で生体分子の大きな変化を経験しており、40代での急激な老化は性別を超えた男女共通の現象であると考えられたからです。

以上の結果は、老化は44歳と60歳という2つの段階で急激に進行することを示しています。

画像
Credit: 東京都江東区鎮座 亀戸浅間神社

男性の本厄は数えで25歳(実年齢26歳)、42歳(実年齢で43歳)、61歳(実年齢で62歳)であり、女性の本厄は数えで19歳(実年齢20歳)、33歳(実年齢34歳)、37歳(実年齢38歳)、61歳(実年齢62歳)とされています。

特に男性においては数えで42歳(実年齢43歳)は大厄として最も注意すべき年であることが知られています。