政治
2024/08/23
やりがい搾取のおたくビジネスでは日本は成長できない
ある意味クリエイターを搾取して甘い汁を吸っているわけですが、それをSNSで嬉々として紹介することに、違和感を覚えないメンタリティをぼくは大変無神経だと思いました。それで調査報道のジャーナリストにキチンと経費を払えるのでしょうか。
例えば韓国やフランスといった成功例があるなかで、税金を食い物にしかできなかったならば、何もしないほうがまだましです。
まあそれでも漫画やアニメやゲームとかそれなりに儲かる可能性があるにはあります。市場も大きいし、一攫千金の可能性もある。確率は少ないですが。
対してジャーナリズム、特に軍事ジャーナリズムなんてもっと悲惨です。本を出しても大ヒットする可能性はない。ぼくが駆け出しの頃は何社か頼めば海外取材費用は賄えましたが、今は殆どでません。
ジェーンズの年鑑など1冊20万円はしますが、そういう資料を買うのも大変です。
それでもマニア誌では仕事はそれなりにありますが、シリアスな専門的な記事を書ける媒体は殆どありません。もっとも海外でも大同小異で、ジェーンズなどでも書き手の質が相当下がっています。
軍事の素養があって英語ができて、海外の文献を読み込んで、世界で取材できる対人能力がある人間は殆どいません。いても別の世界に行くでしょう。まあだからぼく程度の語学力と能力でもそれなりにやっていられるのですが。
その方向の人はえてして安全保障業界に行くのですが、たいてい論文屋さんが多い。皮膚感覚で軍事の事がわからない人が多いように思えます。例えば自衛隊の戦車の運用や性能の問題などは理解できないか、調査報道しないので現実に触れる機会がない。護衛艦の定員の充足率や、医官の不足とか興味ないでしょう。こういうことは調査しないと分からない。そういう意味では小泉悠さんや稲葉義泰さんは稀有な存在です。
本来アカデミズムとジャーナリズムは車の両輪ですが、片輪で真実に近づけるわけがない。
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