他の地球型惑星、例えば金星や火星の大気はほとんど二酸化炭素で構成されています。金星では約96%、火星では約95%が二酸化炭素です。また、水星には大気がほとんどありません。
では他の惑星と比べて地球の二酸化炭素濃度が非常に低いのはなぜでしょうか?
形成初期の地球は、原始惑星系円盤ガスに覆われていました。それは誕生したての太陽を取り囲むガスで、主に水素とヘリウムから成っていました。当時の地球の大気を一次大気といいます。
誕生したばかりの地球にさらに微惑星が繰り返しぶつかり、そこに含まれていた水蒸気や二酸化炭素や窒素などが放出され、地球の大気に加わりました。窒素についてはアンモニアの形で含まれていたとも考えられています。この時期の地球の大気は水蒸気や二酸化炭素が主成分であり、この段階の大気を二次大気と呼びます。
この頃の地球は他の惑星同様に、非常に二酸化炭素濃度が高かったと考えられるのです。
しかし二次大気に含まれていた水蒸気は地球が冷えると液体の海になりました。そして、大量の二酸化炭素は海に溶け込んだのち、炭酸カルシウムなどの炭酸塩鉱物として、海底に堆積しました。そのため地球の大気中からは二酸化炭素が一気に減ったのです。一方、金星には海ができなかったので、初期から現在まで大気中に大量の二酸化炭素が残ったのです。
地球では、大気中から水蒸気と二酸化炭素が大幅に取り除かれ、後に残ったのが窒素でした。窒素だけに目をつけると、その量は初期の地球からほとんど変化してないと推測されます。
酸素については、どうでしょうか?
地球の二次大気には酸素は少しも含まれていませんでした。これは、酸素は活性が強く、岩石などの酸化に使用され鉱物中に取り込まれてしまったからです。しかし、今では酸素は大気組成の約21%を占めています。現在の地球大気中の高い酸素濃度は、生命活動の結果です。この生命活動とは光合成のことです。