オゾン層がまだ形成される前の時代に繁殖していた藻類が盛んに光合成を行った結果、大量の酸素が放出され大気中の酸素濃度が上昇しました。そして、大気中の酸素(O2)に紫外線が当たるとオゾン(O3)に化学変化します。これによってオゾン層が形成されました。

地球の大気は、生命の存在に重要な酸素を多く含むだけではなく、生命を守る働きもしているのです。

強力な地磁気バリア

地球の磁場も生命を守る盾の役割を果たしています。地球には強い磁場があるために、生物にとって有害な太陽風が地表まで届きません。太陽風は高温のプラズマ(原子核と電子が分離したもの)です。これは生物にとっては危険な存在ですが、地球の磁場が防いでくれています。

地球磁気圏の構造模式図
地球磁気圏の構造模式図 / credit:気象庁地磁気観測所ホームページ

磁場というのは、磁石の力が働く空間のことです。

磁石の不思議な力は昔から人類に利用されてきました。例えば、磁石のN極がほぼ北を向くことは古くから知られていて、古代中国では羅針盤などに利用されてきました。方位磁石が方角を示すのは、地球自体が巨大な磁石になっているためで、地球による磁気を地磁気と呼びます。

これは渡りをする生物(季節によって長距離を移動し住む場所を変える生物)が方角を知る際にも利用されていると言われています。

なぜ、地球に強い磁場が存在するのかは長い間よくわかっていませんでした。地球の中心部は5000℃を超える超高温です。強磁性鉱物でも数百℃以上の高温では磁性を失うことを考えると、地球内部の鉱物が永久磁石になっているとは考えられません。

しかし、磁石には永久磁石の他に電磁石というものがあります。電流が流れることによって磁力が発生する磁石が電磁石です。

そのため地磁気は、地球内部にある鉱物の磁石が原因ではなく、地球内部で発生している電流が原因と考えられています。地球の外核は高温の液体であり、主に鉄で構成されているので電気をよく通します。これが地球の自転に伴って対流し、鉄の運動によって生じた電流が地磁気を形成します。このように地球内部の流体運動が磁場を生み出しているという仮説をダイナモ理論といいます。

ダイナモ理論
ダイナモ理論 / credit:Andrew Z. Colvin, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons