ところで、他の惑星には磁場があるのでしょうか? 現在までの観測や惑星探査の結果から、金星と火星以外の惑星には磁場があることが分かっています。

ダイナモ理論によると、惑星が磁場を持つためには、内部に液体の金属核が存在し、かつ一定速度以上で自転している必要があります。

例えば、金星は自転周期が約243日と遅すぎるため、強い磁場を生成する条件を満たしていないと考えられます。火星は地球とほぼ同じ自転速度を持っていますが、核が小さいため、その磁場は地球と比べるときわめて微弱です。

金星の自転周期は約243日と遅すぎるたため、火星は自転周期は地球とほぼ同じですが核が小さいため、ほとんど磁場が存在しないと推測できます。水星は惑星自体が小さく自転周期が59日と比較的遅いため、地球の100分の1の磁場しか持っていません。

実は、昔は火星にも磁場があったという証拠が見つかっています。

火星の表面に残された残留磁場から約40億年前までは火星にも地球と同じような磁場があったと考えられているのです。火星の磁場を生み出した仕組みは、今の地球と同じ火星の内部の対流です。しかし、その後火星の磁場は消失しました。

火星の磁場が消えた原因は、火星の核が冷えて対流が止まったためと考えられています。磁場が消失したため、火星は太陽風から大気を保護する力を失い、地表付近まで吹き込んだ太陽風によって大気がはぎとられたと考えられます。

初期の火星には海が存在した可能性もありますが、大気が失われることによって気圧が下がり、海の水が蒸発しやすくなります。水蒸気は上空で酸素と水素に分解されて軽い水素は太陽風に吹き飛ばされます。このようなプロセスによって最終的には大気も海も失われたのでしょう。

かけがえのない地球

今まで見てきたように、奇跡的とも言えるさまざま条件が重なって地球に生命が誕生し、私たち人間をはじめ多くの生物が暮らしています。