しかし、なぜ地球より小さい惑星である火星に、地球には存在しないような巨大火山が形成されるのでしょうか? 実はその理由にプレートテクトニクスの機能が関係しています。

地球でもプルームが火山を形成することはあるのですが、地球ではプレート運動も同時に存在するため、このプルームの位置は徐々に移動していきます。

例えば、ハワイ諸島はプルームによって形成された火山島に由来しますが、太平洋プレートが北西方向に移動するため、この火山島は同じ方向にズレながら形成されていきます。

このように東西に小さな島が連なるハワイ諸島の形成は、プルームによる火山活動と、プレート運動の組み合わせによって説明できるのです。

プルーム
プルーム / credit:すじにくシチュー, CC0, via Wikimedia Commons

一方で火星はプルームがずっと同じ場所で持続的に起きるため、巨大な火山に成長していくのです。もちろん重力が小さい点や、大気圧が低い点も火山の巨大化に影響していますが、オリンポス山のような巨大火山の存在は、火星にプレート運動がないことの証拠になるのです。

金星は地球と同じくらいの大きさで内部構造も似ていますが、その表面は1枚の硬いプレートに覆われていると考えられています。したがって複数のプレートの動きによるプレートテクトニクスは機能していません。

プレートテクトニクスが地球にだけ存在するのはなぜでしょうか?

やはり地球にのみ存在する水が、プレートテクトニクスの機能に重要な役割を果たしていると考えられています。水は岩石の強度を下げ、断層を滑りやすくし、プレートの動きを促進すると考えられています。

また、地球の表面温度がプレートを形成するのに適しているという要因もあります。他の惑星では、表面温度が高すぎたり低すぎたりして、地球のようなプレートの形成ができなかったのでしょう。

酸素が豊富な大気

地球は窒素が約78%、酸素が約21%というきわめて珍しい成分の大気をもっています。

地球の大気組成
地球の大気組成 / credit:創造情報研究所