生命居住可能領域と言いながら「液体の水」の存在が基準になっているのは、地球の生命は水がなくては生きていけないからです。
例えば、人間の場合、水なしでは5日も生きられません。地球の表面を覆う海は、生命に必要不可欠な水をたたえています。また、地球で最初の生命は海で生まれたと考えられています。海は生命のゆりかごなのです。
とはいえ、ハビタブルゾーンに存在することだけが惑星が海を持つことの絶対条件ではありません。火星にもかつては海があったという証拠も見つかっています。
それでは、なぜ最終的に地球しか海を持たなかったのでしょうか?
一つの要因として、惑星の材料となった岩石に含まれる鉱物の違いが考えられます。
地球の材料となった鉱物にはその成分として内部に水を含んでいました。この鉱物は含水ケイ酸塩鉱物と呼ばれていて、水星や金星付近の軌道では温度が高いために不安定になり水を吐き出してしまいます。
したがって水星や金星にはあまり水が蓄積しませんでした。火星は地球と同じように大量の水が蓄積されていましたが、重力が弱すぎるためにほとんどの水が宇宙に拡散してしまったのです。
地球には、水の他にも大気があります。地球の大気は、酸素、窒素、二酸化炭素の組成のバランスが生物の生存にちょうどいい条件で揃っています。
酸素は少なすぎると息が苦しくなりますが、多すぎると危険です。酸素濃度が高いと生体内で活性酸素が発生し細胞や組織に損傷を与えます。また、大気中の酸素が多いと火災が発生しやすくなります。二酸化炭素が無いと植物の光合成ができません。また、環境に二酸化炭素が多すぎると生物の体内で発生した二酸化炭素を排出することができなくなります。
大気を保持するためには、惑星の大きさや質量も重要です。
水星や火星は地球の半分くらいの直径で重力が弱すぎるため、地球のような大気を保持できませんでした。金星は地球と同じぐらいの大きさですが、二酸化炭素による温室効果が暴走したため、表面での圧力が90気圧、温度が400℃という高温高圧の世界になってしましました。